飲んでる。酒、飲んでる。
酒弱いんだよね。すぐ酔う。んで大学時代に飲んだりとかもあんまりしなかったから、小料理屋で飲んだ経験があんまりないんだよね。
小料理屋、いいよね。小料理食いたいわね。
俺はサワーを頼むこと多いんだけど、小料理屋ではビールなんか頼んじゃってね？んでお通しです。って出てきた小粋な煮物なんかをつまんで、「あ、これ美味いなぁ！」なんて心でひと騒ぎしちゃったりしてさ。
当たり前だよバカ料理屋なんだから美味いよそりゃ。
小料理屋なんか行ったらもう、当然友達連れてとかじゃなくて1人で行くわけだからさ、できればカウンターとかに座ってね。ゆっくりゆっくり酒を飲むわけさ。いいね。
メニューなんてもう味気なくてね、教科書体で書いてあるわけよ。んで何頼もうかなーなんて考えるんだけど、もうあれよ。緑のあれ。つぶで丸くてさ、ふたつかみっつ入ってるあれよ。塩味のあれ。
もうお口にぴゅっぴゅって放り込んであー美味いなぁってね。もうね、雰囲気で酔えるからね。小料理屋にいる俺、カッコいい。ってなるから。自分の空間。領域展開。
おかみさんが気を利かせてちょっと話しかけてくれたりしてね、お兄さんこの辺に住んでるの？なんて言ってね。そしたらもうこっちの話していいわけだから。自分の話するの好きだから。
埼玉にいたんですけど最近こっちに引っ越してきて…から始まってね。あー埼玉なんだなんて言われるわけで、埼玉って話すことないからさ、この辺の人たちって埼玉を見下してるからさ。埼玉のどの辺？なんて答えたって全然分かんないから、足立区の隣です。なんて変な答え方してね。
そしたらなんでこっち来たの？って話になるからさ、埼玉に６年くらい住んで、飽きたので来ましたってなるわけ。そしたらへーその前はどこにってなるから高校までは仙台にいました。ってなるわけよ。予定調和。
仙台ならみんな話せるからね。仙台はすごいよ。
みんな一回は行ったことあるもん。不思議だよほんと。イメージがね、渋滞しないんだよね。仙台は。
牛タンと津波、それだけだから。野球が好きなら楽天あるけど。でも十分なんだよ。十分会話できる。
横浜で話すって難しいんだよな。話すことない。
みなとみらいを愛して、暇さえあれば通ってるとか、そういうのじゃない限り、田舎の人間がイメージする横浜と実際の横浜の差は埋まらないからね。
仙台はね、牛タンしかみんなイメージしてないし、実際牛タン以外なんもないから楽だよね。そら会話もできるよ。んで当たり障りのない牛タントークしてね、仙台にも仙台っ子ラーメンっていう家系のラーメン屋があるんです〜なんて言ってね。つまんね。
なんか地元のこと考えてたら酔い覚めてきたわ。
別に嫌いじゃないし、なんなら1番好きな街だけど、高校までいたから思い出がありすぎる。
埼玉くらい何もないとこが丁度いい。
小料理屋のことなんて考えなければよかった。女将が話しかけてきたせいで、地元を思い出して、また自分を見ることになる。イマジナリー女将、許すまじ。
