まっきーのニッキー

主に自分宛の毒を吐きます。

1年に13.0冊本を読む俺からのオススメ

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改良です。ちゃんと2回読みました。

【新作】1年に8.00冊本を読む俺からのオススメ - atto_tekimakkiの日記

先月くらいに読んだ、今年破局芥川賞を受賞された遠野遙さんのデビュー作ですね。

これはねー、びっくりしました。

似てるんですよ。破局と。

比べると破局の方が読みやすいし、表現の幅も広いと思うんですけど、似てるんですよね。

主人公に自分が無いような感じも似てるんですけど、一つ一つの行動に理由があって、全然罪はないんですけど何故か悪い方に向かっていってしまうところも似てました。本質は違うのですが似てました。スペードの13とダイヤの13くらい似てました。

破局を読んだときはあんまりその文章とか設定に馴染めなくて、他の作品を読んでみようと思っていたら上司が貸してくれました。ありがとう。☺️

 

ただ当たり前ですが違うところもあります。主人公が女性視点ということです。似たような文章なんですけど二つの視点をしっかりと使い分けれるあたり、すごい作家だなと思います。

正確に言うと女性ではなく男性。ですが女性的な美しさを求める男性。自分のことをまだ理解できてない描写もあるあたり、あまり使われませんがLGBTの後ろにつけられることのあるQ、questionに分けられるような主人公です。

 

自分の容姿がひどく不細工であることをひたすら気にして、努力して化粧を覚えて、ネットで買ったサイズの確かめられないレディースを着て、おしゃれをする主人公は本当に健気。ただそうやって手に入れた美しさを、簡単に全面的に否定される環境。

しかも周りの人物の背景を匂わせるのがめっちゃ上手いんですよね。さりげなく、その人たちの暮らしも匂わせてくる。生きづらい主人公とはまた違う生きづらさを抱えていることが想像できる。

 

自分がなんとなくもっている価値観がどれだけ相手を否定するかというのを痛感できるし、逆に否定されたときに感じる不快感も読んでいて伝わってきました。

破局、全然好きじゃなかったんですけど最初に改良読んでおけば絶対面白かったです。それだけは後悔してます。また読もうと思います。