前回読んだ首里の馬と同じく芥川賞を受賞した破局を読みました。
普段ならあらすじと感想を書くところですが、この作品を読んでいるうち、あらすじを描くことに意味がないように思えてきたので割愛します。
主人公の行動はシンプルで、今までの人生で培った常識とスポーツとセックスの3つ。
ちょいちょい放り込まれるホラーチックの小噺にも何も感じない主人公には読み手との差を感じる。けれど理由のない行動はしないから、理屈で語れないものは怖くないのかもしれない。
感想もこれくらいで終わり。
ここからは好みの話。
セックスの話がどうも苦手。
童貞が長すぎたからかもしれない。ドラゴンカーセックスという性癖のせいかもしれない。とにかくセックスの話が苦手。
大学生がどうも苦手。
自分たちには未来がある。と信じて疑わないあの態度や、自分の周りに友人がいることを当たり前だと思って感謝もしていない面構えを見ると憎くてしょうがない。嫉妬する。
細かい感情をぶつ切りに書く漱石のような文章も、流れが分かりにくくて好きじゃない。
だから、俺はこの話が好きではなかった。
誰でも共感できる学生生活やセックスみたいな人間関係とそれによる個人の衰退のバランスが良かったし、何より読みやすかった。面白い面白くないというわけではなくて、こういうのも文学なんだなという勉強になった。
本を読むようになってこの話好きじゃないなと思ったのは初めてだった。けれど考えてみればそんな本もあるのは当たり前だし、遠野遥さんの他の本も読んでみることにした。