今回読んだのは斜陽。
あすらじと思ったこと書いてくね。
あすらじ
貴族がいました。中堅貴族。
でもおとんは死んで、稼ぎはありません。
するとどうなるか。貴族ではなくなりました。
貴族として生きてきた母、貴族のはしくれの兄、母大好きの主人公、3人の話。
あすらじおわり。
この本は環境の衰退と個人のたくましさがあった。
心が疲れてる今の僕にちょうど良かったかもしれない。
みんなはお金に困ったことがあるだろうか。
僕は常に困っている。お金がない。常にない。
だからこの衰退する貴族の気持ちはなんとなくイメージしやすかった。
お金がないと、それしか考えられない。もしくはそれを考えなくていいよう体を動かすことの2択になる。
お金のことを考えると本当に気分が落ち込む。
金銭面の衰退と、健康面の衰退の二本軸だった。
たくましさを見せた主人公が何に逃げたかというと、それは恋愛だった。恋愛でもないか。不倫だった。愛する人の子を産もうとした。
不倫はいけないことと教わってきた主人公は、そんなルールの中で衰退する自分たちに耐えられなかった。革命を起こそうとした。
母は死んだ。
貴族として生きた母に貴族以外の生き方はできなかった。優雅にひらひらと死んだ。
この2人の女性の対比もけっこう好き。
死んで行くひとは美しい。生きるという事。生き残るという事。それは、たいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしい事のような気もする。
と主人公が語るようにとにかく金銭面での選択肢の少なさが精神的な辛さとして出てて、革命、革命、と呟く主人公の必死さがよく分かる。
まとめ
それまで母の死を考えなかった主人公は母のいない生活が分からず絶望に暮れる。ただ世界を恨むにつれ生きることを肯定するようになり、そのために子供を欲しがるようになる。
そこの一瞬一瞬の力強さが参考になった。
お金がない奴は読んだほうがいい。タダだから。
斜陽というと今では落ち目、没落という意味が最初に来てしまう。ただ太陽は暮れる時が一番明るいのだから、没落の中にある力強さが分かるいい作品だった。あと短いのも良かった。